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【閲覧注意】本当にあった怖い話(タクシーの女)【前編】

2019年10月17日

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【閲覧注意】本当にあった怖い話(タクシーの女)【前編】

2019年10月17日

もうすっかり秋らしくなってきて、朝晩は寒いくらいですね。まだ紅葉は見られませんが、東京だと11月に入ってからでしょうか。今日は雨が降っているので「昔の雨の日の出来事」を思い出します。
怖い話といえば夏のイメージなので少し季節外れ感がありますが、ずっと昔に体験したことを書きます。本当に怖かった思い出って、時間が経過しても鮮明に記憶に残っていたりするものですよね。

僕がまだ高校1年生のときに体験した出来事です。
高校受験が終わって勉強から解放され、ようやく生活が落ち着いてきた頃。季節は梅雨、暖かいような少し肌寒いような、それでいて湿度が高く不快で、出かける際の着る服や靴選びに悩んでいた記憶があります。

当時は毎週火曜日と土曜日にピアノ教室へ通っていました。最初は趣味だったピアノも、いつしか音楽で生きていきたいと思うくらいまで好きになっていました。
習い事に復帰してからしばらくして、いつもの放課後。学校から帰宅して譜面を見ながら指を鍵盤に這わせ、動きを確認してからそのまま教室へ向かおうとしていました。
教室は僕の家からほぼ直線で徒歩10分くらいのところにあり、とても近くて通いやすい場所にありました。しかし、途中で踏切を通らなければならず、踏切が開くまで10~15分待たされることがあたりまえでした。ニュースで取りあげられるほど有名だったその「開かずの踏切」、現在は高架線になっているものの、当時は歩道橋が老朽化ということで使用禁止になっており、どうしても踏切が開くまで待たなければならない状況でした。

その日は時間に余裕があり、制服からデニムとパーカーに着替えて出かけることにしました。雨が降っていたのでビニール傘を差し、例の踏切まで到着しました。10分ほどで開いたので、いつもよりは早い方だなと思っていましたが、踏切はまたすぐに閉じ始めて車道は渋滞したままでした。そのまままっすぐ歩いていると、踏切(駅)の方に向かう途中のタクシーが数台、踏切待ちで停まっていました。どのタクシーもフロントの表示器が乗車だったか賃走で後部座席にも人影が見えたので、この時間はみんな利用するんだな、と勝手に思っていました。

何台か並んでいるタクシーのうち、1台だけ「空車」になっていました。反対車線で少し距離があり、且つ雨が降っていてフロントからはよく見えなかったのですが、横から見ると後部座席にトレンチコートを着た長い黒髪の女性がいました。ちょうど降りるところだったのか支払いをするタイミングだったのかわかりませんが、その女性は足元に物を落としたのか、ずっと何かを探しているような動きをしていました。今でも不思議なのですが、普段なら気にせず通り過ぎてしまうような光景なのに、その日はなぜだか立ち止まってその女性の様子を見ていました。すると突然、女性の動きが止まったかと思うとものすごい速さで僕の方を振り返りました。顔色が悪くてやつれていて、白目のない真っ黒な目。それでも目が合ったと思いました。数メートル離れているのに、目が合っていることがわかったんです。「うわっ!」と思わず心の中で叫んでしまったのですが、普通じろじろ見られたら気分悪いよな、と思い、そのまま歩き始めました。
…なんか気になる。やめておけば良いのに、好奇心と恐怖心に勝てず、歩きだして3歩目で振り返りました。右斜め後ろのタクシーを見たらさっきの女性の姿はありませんでした。タクシーの外にもそれらしき女性の姿はなく、見間違いだったのか、見たらいけないやつだったのか、嫌な思いを抱えたまま教室に向かいました。その日はとても集中できず、ミスばかりでした。(続く)

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