Horror

【閲覧注意】本当にあった怖い話(タクシーの女)【後編】

2019年10月19日

  1. HOME >
  2. Horror >

【閲覧注意】本当にあった怖い話(タクシーの女)【後編】

2019年10月19日

「えっ?」
一瞬の沈黙のあと、妹がまた話し始めました。
「お兄ちゃんが見たのって長い黒髪の女の人だよね?」
僕は女性の特徴を改めて伝えました。黒髪でロングで少しウェーブがかってて。顔色は肌色とかではなくグレーに見えたこと。やつれていて白目が見えなかったこと。そしてあの日、目が合ったように感じたことも。
「たぶんその人だと思うけど、家の中で何回か見てるんだよね。信じてもらえるかわからなくて黙ってたけど。」
妹の話だと、僕がその女性のことを家族に話した翌日から、家の中で長い黒髪の女性を見かけたり気配を感じるようになったとのことでした。恐怖というより驚きの方が大きく、言葉がみつかりませんでした。

妹と話していて気づきました。それは、僕たちはその女性の姿を一瞬見かけたり気配を感じたりするものの、今まで何か問題が起きたわけではなく実害がないということ。嫌な感じがするとか怖いとかそういった感覚ではなく、ただ「いる」というだけで、もしかしたら放っておいても良いのかもしれないということ。両親に話しても信じてもらえるとは思えず、特に何かすることもなく様子を見ることにしました。
そう決めた瞬間、リビングに置いてあったテレビが急につきました。嫌な予感がしました。リモコンで消してしばらくすると、今度は部屋の電気が消えました。さすがにヤバいと思い部屋の明かりをつけようとした瞬間、妹が叫びました。普段出さないような大きな声で。
「用がないなら出て行ってください!」
すると上の階の人が転んだのかと思うくらい大きな音が天井から「ドンっ!」としました。慌てて部屋の電気をつけて様子を窺ったのですが、いつもと変わらない部屋があるだけで何も起こりません。その日は「何か」に警戒しながらも、ただ時間が過ぎるのを待つしかありませんでした。

それから2週間ほど経ちました。家にいても例の女性を見かけることはなく、気配も感じなくなりました。妹も何も感じないようで、ふたりでもう大丈夫なのでは、と思っていました。もしかしたら妹が叫んだおかげで「その女性」はいなくなったのかもしれません。

しばらくして僕は「その女性」のことをすっかり忘れていました。気配も感じないし初めて見かけた場所にも何も起きておらず、思い出すきっかけもありませんでした。そしていつものように放課後、僕はピアノ教室へ向かいました。僕の担当をしている先生は音大を卒業したばかりのきれいなお姉さんといった感じで、育ちが良いのか言葉遣いも所作もとても上品で優しい先生でした。教室に入りピアノが置いてある防音室のドアをノックしました。いつものように挨拶をすると、先生が優しく、でも不思議そうに挨拶を返してきました。

「こんにちは。後ろにいらっしゃるのはご家族の方かしら。お姉さん?」

Copyright© Deonardo , 2022 All Rights Reserved.